vol.9 (2015.5.7) | 学会本部活動通信
平成26,27年度会長
前 一廣
去る4月24日、化学工学会総会が開催され、いくつかの議案が可決されました。また、その席上で、小職自身の本年度の活動方針を述べさせて頂きました。今回は、その中で、特に重要な項目を報告させて頂きます。
総会決定事項
本年度代表理事、理事、各種委員会委員長、副委員長の承認可決
陣容は別途、webに掲載済(こちらから)です。また会誌には6月号に掲載する予定ですので、それを参照して下さい。
会費の値上げの決定
平成28年度(約1年後)から、全ての会費を約10%値上げ致します。現在、学会経理は、悪化の一途を辿っており、インケム開催年でも赤字転落の状況です。この要因の一部は毎年200名以上の退会にあります。この経営状況に対して、本年2月に支出を精査し、本年度から約1000万円のシーリングを行うべく、計画を策定しました。しかしながら、消費税増税に伴う税金分支出の影響は大きく、健全な経営状況を担保するには会費を値上げせざるを得ないとの結論に達しました。本会ではこれまで消費税増税に対して会費値上げせずに何とか対応してきましたが、これまでの税支出の累積が保有資産を取り崩すという状況を鑑みると会費値上げを断行するという結論に達しました。来年度からの新会は正会員11000円/年(月1000円以下には押さえております)、学生会員5500円/年などです。詳細はwebに掲載する予定ですので、それを参照して下さい。
尚、上記シーリングは、本年度から順次実行に移し、さらなる会員サービスの向上に努めていく所存です。何卒、ご理解賜れば幸いです。
活動方針(本年度の主要な項目のみ抜粋)
部会の健全かつ発展的な展開
かつてのVISION2011の目玉であった部会制ですが、各部会は設立当初から全く変化がなく、企業部会会員の減少が目立ちます。部会こそ、そのときの社会のニーズに合わせて変化発展していく組織体であると考えています。すでに、VISION2023では、産学連携推進の仕組みを構築することが謳われており、これを実行する主力組織は部会であると認識しています。これより、本年度は部会に関して十分に議論を重ね、部会の評価、再編も視野に入れて活性化を進めていきたいと考えています。その一アクションとしてすでに秋季大会でのシンポジウムの改革も進めつつあります。会員各位におかれましては、部会での活動を魅力的なものとすべく積極的な参画をお願いしたいと思います。
APCChE 2019の誘致
本年10月初めにメルボルンで開催されるAPCChE 2015で、2019年の開催国が決定されます。これを是非とも日本に誘致して、アジアにおける求心力を少しでも取り戻したいと考えております。誘致には日本からの学会参加者数が大きな要素になります。是非、一人でも多く参加して頂けますよう、宜しくお願い申し上げます。
政府、学術会議への提言活動
(化学工学サスティナビリティ委員会提言のアクションプラン化)
昨年度来、経産省化学課との定期的な意見交換会により、本年度、「地域活性化に資する新化学産業論」の提案を行っており、これを調査研究として展開すべく活動しています。概論は年会初日の小職の講演でお伝えしましたが、具体的な内容は、各支部、部会等に順次説明させて頂きます。来年度以降のビッグプロジェクトに繋げるべく努力していく所存です。
福島原発対応
3月の年会で、日本原子力学会、土木学会、地盤工学会、廃棄物資源循環学会の福島原発問題に対応する先生方に講演をいただき議論させて頂きました。その結果、原子力学会を中心に上記4学会+当会で、バーチャールな委員会を組織し、政府や福島関連企業の支援を行う仕組みを構築することに合意を得ました。別途、小職から日本原子力学会長に本件要請し了解を得ております。今後、その準備委員会が開催される予定です。また、6月23日に化学工学会の当該委員会メンバーにて福島原発(1F)の視察を東電に受け入れて頂きました。現状を俯瞰的に視察させて頂き、今後の具体的な活動に繋げていく予定です。本件、40年近くかかるロングランの事項なので、上記の仕組みづくりが最重要と位置付けており、プレイヤーは代替わりしても日本の関連する公益社団法人群が協調して対応できる仕組みづくりまで本年度中に仕上げていきたいと考えております。
その他の活動予定の項目もありますが、今回は主要なものだけ報告させて頂きます。繰り返しになりますが、会費値上げ致しましたことを理事一同、肝に銘じて、さらなる会員へのメリットの還元努力に邁進いたす所存ですので、何卒、ご了解賜り、より積極的に学会のリソース(技術アーカイブ、技術相談、各講習、地域や専門分野での会員同士の繋がり、仲間や親友づくりなど)を積極的に利用して頂ければ有難く存じます。
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<本年度活動開始にあたってのつぶやき>
小職、化学工学分野の門を叩いてから本年度終わりで丁度40年になりますが、この1年が小生をここまで育てて頂いた化学工学会への最後の恩返しの機会となってしまいました(来年度からは一会員として退職まで地道に活動します)。この気持ちから、最後の機会に何とか次世代が大きく展開できるようなきっかけを残したいという一心で大学での研究も縮小して学会運営に取り組んでいます。時々、もう一人の自分が、そこまでしなくても良いのでは?60歳前にして自分自身に何のメリットがあるの?と囁きかけます。しかし、化学工学会があったからこそ、化学工学研究者、技術者(神鋼時代です)として歩んでこられた結果、今の自分があると痛感しており、この組織をより良いものに努力していくことが小生に与えられた最後の1年のミッションと思っております。この気持ちは小生の先輩諸氏、同輩達も同じと思います。若手、中堅の会員諸氏には、将来ロートルになったら初めて理解できるであろう、この気持ちを少しは感じて頂き、一緒に活動して頂ければなあと願っています。残り1年、宜しくお願いします。