vol.2022-03 (2022.9.20) | 学会本部活動通信

CSR委員会活動報告

2022年9月20日
CSR委員会 伊藤 晃子

 2020年11月の活動報告にもありますとおり、CSR委員会は化学工学会が社会から期待される役割、果たすべき役割を明確にし、行動計画に反映させるために議論を重ねてまいりました。今回はその成果とこれからの展望を報告いたします。

1. Hop! 今求められている化学工学会の社会的意義とは?

 化学工学ほど何をやっているのか説明しにくい学問領域はないだろうというところから議論が始まりました。化学とはどういう学問かと問う人は少ないでしょう。一方で、化学工学って何なんだろうと思っている人は学会員でも多いはずです。これに対して、「化学工学は、化学装置を対象に装置の設計や操作を通して評価関数の最適解を導く方法を確立することを目的として、数々の現象を汎用的なモデルに昇華させるノウハウを集積してきた学問である」と言えると考えています。  では、学会として存在する意義は何か、それは産学の知を結集し体系化するためのものであるとともに、その知をもって全体最適となる未来像を描き、国や世界に提言するということにあるのではないでしょうか。
カーボンニュートラル社会を実現するために、化学工学のバウンダリーを化学装置から社会システムへ広げ、これまで体系化してきた理論、思考方法を適用し、全体最適のボトルネックを取り払っていくことが化学工学者に期待される役割だと考えています。

2. Step! どのように化学工学会の社会的価値を向上させればいいか?

 化学工学がもっと積極的に社会課題の解決に向けた提言をし、解決策を実装していくことが価値向上につながることは上述のとおりです。そして、社会が加速度的に変化するなかで、これを迅速に実行するには、他の学問領域と融合することが大事だというのも異論はないでしょう。では具体的にそれをどう実現すればいいのでしょうか?  学会員が化学工学の力を発揮して社会課題を解決する機会が増えることで、社会から化学工学の重要性が認識され、化学工学の社会的価値向上に繋がっていきますが、この好循環を形成する第一歩として学会が取り組むべきことは、なにより化学工学の意義を社会に明確に打ちだしていくことだと考えています。

3. Jump! 具体的な方策は?

 それを効果的に行うために、つぎのようなアクションを随時軌道修正しながら迅速に推進してまいります。
  • 化学工学会の社会的役割をさまざまな形で対外的に打ちだす。
  • 同時に、”学会本部から学会員へのサービス提供”という従来の姿勢を改め、学会員同士がいつでも活発に議論を深めることで学会が活性化するよう、双方向性を有する仕組みを構築する。
  • さらに、化学工学を学びたい学生を増やす仕掛けや、卓越したケミカルエンジニアの育成に活用できる教材を充実させるなど、対象別に化学工学へ誘導する戦略を立てる。
  • それから、学会外と学会内を双方向的につなぎ、知の体系化の領域を拡充する。
  • そして、学会内外の知恵を結集し、未来図を描き、社会実装をリードする。
 化学工学と化学工学会の価値向上のため、学会員のみなさまにはこれまで以上にご協力をお願いする機会が増えると思います。ぜひ、一緒に化学工学会を盛り上げていきましょう!