vol.2022-02 (2022.7.12) | 学会本部活動通信

学会本部活動通信2022年度vol.2

2022年7月15日
2021、2022化学工学会庶務理事
所 千晴

 2022年4月から筆頭庶務理事を拝命しております、早稲田大学の所です。どうぞよろしくお願いいたします。

 庶務理事を拝命しましてから、日々、化学工学会の魅力はどういった点にあるのか、誰のための、何のための学会なのか、という点について、様々なお立場のみなさまのご意見も拝聴しながら、考えてまいりました。そもそも化学工業のための単位操作や装置開発にルーツを有する化学工学の関係者は、1つ1つの単位操作を構成する学術的理論に対する深い洞察力を有しながら、装置やプロセス、システムを俯瞰的に観察して最適解を得るバランス感覚をも有した存在として、これからの課題多き時代に欠かせない人材であり、また逆に、欠かせない人材を輩出すべき分野であるということだと思います。  現に、化学工学会はダイバーシティ、SDGs、カーボンニュートラルといった社会的かつ国際的な動きにもいち早く着目し、組織として取り組んできました。SDGsやカーボンニュートラルに関連する産学官連携の大型プロジェクトでは、化学工学会員が中心的役割を果たしているものがいくつも存在します。また、コロナ禍でのオンライン化にも比較的早く対応した学会であったと思います。  しかしながら学会運営を改めて拝見いたしますと、支部、部会、分科会、研究会、委員会など数多くの組織が存在し、それらは必ずしも有機的に連携されていません。現場は長い歴史の中で確立されてきた日々のルーチンワークに追われ、目の前の企画や行事をこなすのに必死です。VUCA時代と言われるほどに世の中の環境や要請は目まぐるしく変わりますが、現場にはそれに柔軟に対応できるだけの余裕がありません。また同じような企画や行事が、大小様々な組織で行われ、俯瞰的視野を有することが長所あったはずの化学工学的視点は、少なくとも組織運営最適化にはうまく生かされていません。結果として、産学官からの多様で貴重な人材が結集されているはずの化学工学会では、それらの活力が最大限に生かし切れていない状況にあります。  個々の活動を拝見しますと、社会人から学生まで多種多様な人材を対象とした学術研究会、講演会、展示会、人材育成プログラムなど、実に魅力的な企画が日々行われています。これらの活動をもっと内外に有機的にアピールし、学会内の人材を育成しながら、外からも新たな人材を巻き込む学会づくりが必要です。また、学会とは、そのような活動を通して人材間の強固なネットワークを構成する場を提供することが使命であることを改めて認識し、より双方向性のあるコミュニケーションを強化する必要があります。  今年度は上述のような課題認識のもと、各組織間の連携やコミュニケーションを促進いただくようなお願いを各方面にさせていただいています。長年の課題であった広報についても組織強化をはかりました。コロナ感染症の状況は予断を許しませんが、ネットワーク強化のための場の形成のために、様々な企画を少しずつ対面で実施いただくようにお願いさせていただいているところでもあります。もちろん、オンラインの長所は引き続き活用すべく、ハイブリッド形式も引き続き積極的に取り入れていきます。  この機会に改めて、各会員にとってより魅力的な化学工学会となるためには、どのように学会運営を改善していくべきか、ぜひ建設的なご意見を頂きたいと思っています。我々も双方向コミュニケーションの強化を図りたいと考えておりますので、ご指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。