vol.2020-04 (2021.3.5) | 学会本部活動通信

学会本部活動通信2020年度vol.4

2021年3月5日
庶務理事 久保田 伸彦

 昨年は7月の非効率石炭火力のフェードアウト検討開始、10月の2050年カーボンニュートラル宣言、これを受け経産省が12月に公表したグリーン成長戦略と続き、予想をはるかに上回るスピードで環境・エネルギー分野の動向が変化しました。これに対して、化学工学会の2020年度重点施策である「社会課題解決に向けての政策提言と社会実装」に沿って、地域の産業連携によるCO2削減を目指すプランを策定し、社会実装を行うことを目的とした活動を進めてきました。9月にWGを立ち上げ、2021年2月に地域連携カーボンニュートラル推進委員会を発足させ、正式に活動を開始することになりました。本通信ではこの活動に関してご紹介させていただきます。

1.周南地区との情報交換

 化学工学会が進める地域の産業連携によるCO2削減のモデルケースとして山口県周南市にある周南コンビナートを選びました。周南地区ではコンビナートの企業による連携会議が存在し、昨年8月にこの会議にて化学工学の知見を活かした地域の産業連携によるCO2削減に関する考えを説明するとともに、協力の要請を行いました。その結果、構想に関して理解していただき、周南地区のCO2削減に関する具体的なニーズを聞くフェーズに入りました。9月に結成されたWGにて周南企業と複数回の議論を行った結果、石油精製や電解プロセスの副生水素の有効活用とCO2の有価物化、各種プラントの廃熱の有効利用などがコンビナートのニーズに合う事がわかりました。そこで、WGとしての準備活動を完了し、正式な委員会活動に移ることとなりました。

2.「地域連携カーボンニュートラル推進委員会」発足

 前述の通り2月に「地域連携カーボンニュートラル推進委員会」として正式な委員会活動が開始されました。この委員会では周南地区における社会実装に向かって複数のCO2削減技術/方法の検討を進めると共に、活動を進めるための省庁、自治体を巻き込んだ枠組みの形成を進める予定です。  温暖化ガスの排出量を2050年までに実質ゼロを目指して、世界中で、技術、政策、地域連携など多角的な取り組みが加速されます。産学官の連携、学際融合から化学工学が挑むゼロエミッションについて、学会内の英知を集約し、多様な視点で議論していく必要がございます。全員参加型の議論を展開し、みなさまからのプロジェクトへの新規提案を歓迎いたします。化学工学が拓く未来社会をともに語り、この活動を通じて学会全体の分野融合研究の推進と学術の発展に貢献することを期待しています。