HOME本会の概要

会長挨拶

化学工学の飛躍と挑戦 〜VISION2011 の実現に向けて〜

平成20年度会長  正 野 寛 治 (三菱化学(株) 相談役)

 この度、三浦前会長の後を承けて、歴史と伝統ある化学工学会の平成20年度会長を拝命することになりました。三浦前会長はじめ歴代会長のご尽力を引き継いで、「魅力ある学会」つくりに微力ながら貢献したいと思いますので、理事の方々はじめ会員の皆様のご支援ご協力をお願い申し上げます。
 20世紀に化学プロセスの「単位操作」と「システム化」として体系化された化学工学は、化学プロセスの装置化を汎用的に可能とする実用工学として、石油・石油化学をはじめとした素材型産業の発展に大きく寄与してきました。21世紀に入り爆発的とも云える世界経済の成長の中で、資源・エネルギーの消費の増大に伴い、「持続可能な経済社会の実現」のための高機能・省エネルギーな製品の実現が要請され、化学工学も従来の単位操作からバイオ、先端材料、ナノテクノロジー、超臨界相などの新規分野を包含する総合的な工学に変貌しつつあるように思われます。
これに対して、平成13年に「VISION 2011」で21世紀の化学工学のあるべき姿の提言とそれを実現するために化学工学会をどのように変革するかの提言を行い、その実現に向けて着実に活動を続けてまいりました。
本年度は「VISION 2011」提言の実現化という基本方針の下に、①会員サービスの充実 ②産学連携の緊密化による社会貢献 ③学会活動の社会への発信 ④国際交流活動の充実 を重点課題として学会を運営したいと考えています。
まず、会員サービスの充実の一つに論文誌があります。学の成果の重要な発信源であり、投稿しやすい読みたい論文誌を目指して、本年から電子ジャーナル化がスタートしました。学のみならず産からの論文投稿が増加し、活性化することを期待しています。この他、会誌発行、年会などの基本的事業についても会員の皆様一人ひとりのご意見を頂きながら更に改善を続けてゆきたいと思います。
次に産学連携の緊密化による社会貢献としては人材育成があります。企業にとっての活力の源泉は人であり、人材の確保・育成は重要な課題であります。学会ではこの要請に答えるべく、継続教育・経営ゼミナール等の活動を行ってきましたが、人材育成センターで検討してきた技術者資格制度の一貫として、昨年「化学工学技士」が認定されました。一昨年スタートした、大学で化学工学を習得した証である「化学工学修習士」と経験15年以上の資格である「上席化学工学技士」と併せて化学工学技術者としての一貫した資格制度が完成しました。これら制度を通して、化学工学技術者としての自己研鑽の一助として頂くと共に、この資格の社会への認知度を高めてゆくことが今後の課題です。また、学会として一昨年から実施しているインターンシップ制度の更なる充実を図っていきたいと思います。
また学会活動の社会への発信としては、昨年開催されたINCHEM TOKYO 2007が挙げられます。過去最高の参加者に恵まれ、特に産学官マッチングフォーラムは盛況で、学から産へ、産から学へ活発に発表と討議が行われました。年会における「先端化学産業技術プログラム」をはじめ、官も含めた産学官の交流の場を支部・部会と連携協力し、今後も積極的に開催したいと考えています。また、今日的な課題である「地球温暖化防止」、「持続可能な経済社会の実現」に対しても如何に貢献するかが要請されていると思います。これらの課題に対して要素技術を深化させるために現在13の部会が活動を行っておりますが、この部会活動を更に活性化させ、社会からの要請に応えていきたいと思います。
今日的なマクロな課題に対しては他分野との連携も必要となり、昨年発足した「日本化学連合」に参加しました。第2段階のより緊密な「日本化学連合」への移行については今後慎重に議論をする必要はありますが、「日本化学連合」の活動を通じて化学工学のアイデンティティーを確立する必要があるのと同時に、学会のHPを更に充実させ、メルマガ等を活用することにより、学会の活動を広く社会に発信していきたいと思います。
 重点課題の4番目として、国際交流活動の充実があります。昨年12月には第4回日中化工シンポジウムが開催されましたが、今年度も引き続き、欧米や中国、韓国を初めとする東アジア諸国、ASEAN各国との学術交流を更に活発化していきたいと思います。本年はISCREが京都で開催されることもあり、化学工学会としても国際交流活動を積極的に推進・支援していきたいと考えています。また、英文のHPを充実させ、世界に向けての情報発信を更に進めていきたいと思います。
21世紀における諸課題に対して化学工学の果たすべき役割は益々大きいものになっています。会員一人ひとりの英知を結集し社会の要請に答えられる化学工学会にしてゆきたいと思いますので、是非とも会員各位のご協力をお願いします。

(化学工学4月号から)