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私は現在,山口大学のVBLポスドクをしています。この「女性会員からのメッセージ」の執筆依頼をいただいたとき,私は自分の身の振り方を考えていたところでした。皆さんに何を伝えることができるのか悩みましたが,私のこれまでの研究との関わりについて書かせていただきたいと思います。
−「酵素」との出遭い−
私は大学に入る前から大学院への進学を希望していました。1年間のみの卒業研究よりも,もっと深く研究を追求していきたい,もっと多くの知識を吸収したいと。4年次に配属された研究室で現在までの人生の道のりが決まったと思います。
山口大学工学部応用化学工学科(現:山口大学大学院理工学研究科 環境共生系専攻(工学系))の福永助教授(現教授)のもと,「酵素」という生命体?に出遭いました。
反応の場を提供し,反応の前後で自分はそのまま変わることがないマジックボックス≒「酵素」に夢中になりました。念願の修士まで研究することができましたが,福永教授のご助言によりそのまま博士課程に進学することになりました。「酵素」によって,まさに私の人生が触媒されてしまったかのように,研究生活のスタートを切り,あっという間に6年間が過ぎました。
−教育者として−
山口大学で博士号を取得後,幸運にも公募で山口東京理科大学の任期制助手に採用していただきました。山口東京理科大学でも「酵素」を取り扱うことができましたが,今までの化学工学とは異なり,理学のアカデミックな探究心を目のあたりにし,「工学」と「理学」の考え方の違いを痛感しました。
また助手となると,研究だけに没頭していた博士課程時代とは異なり,研究のみならず1人の教育者として学生に接しなければなりません。学生はかわいくて教育も楽しいのですが,そこでは教育と研究の両立の難しさを味わいました。
理工系大学の教育の場において女性教員が少ないのは私が学生時代の時も現在も変わりません。実際,自分が教育者になってみると,女子学生から質問を受けたり,様々な相談にのったりなど,よく話しかけられていました。やはり女子学生にとって女性教員は必要であると思いますが,未だ少ない現状であることは残念です。
−研究者として−
2007年10月から,山口大学に戻り,福永教授の下,VBLのポスドク研究員として,「酵素」のみならず新しい研究分野も加わって新たな道を歩み始めています。
3年半の間,化学工学の分野から少し離れ,自分の知識の遅れに不安を感じることもありますが,山口東京理科大学で経験した「理学」的な考え方が役立つことを大いに期待しています。新しい発見をし,それに対し深く追求していく「理学」分野を経験したことを活かし,新しい発明をしていかに役立つようにするかという「工学」分野と融合することで,広い視野を持って研究に臨むことができるようになったのではないかと思います。
−博士取得後のキャリア設計−
大学院で専門知識を身につけて博士課程を修了しても,将来の展望に不安を感じている方も多いと思います。博士修了者が増加し,研究職につけずに行き場を失ったり,短期契約のポスドク研究員を繰り返すなど,若手研究者の雇用不安が深刻化し,現在,社会的に政策が掲げられる状況です。
3年半という短い期間ではありますが,助手(助教)という職を経験して私が感じたことは,博士課程修了後はまず,研究者として様々な場所で経験を積むのが良いのではないかということです。大学などの教育機関で働く場合は,研究とともに教育にも専念しなければなりません。
研究職を点々とすることは不安に感じると思いますが,集中して研究を行うことで,業績を積み上げることができます。学生の理解力が手にとってわかるときなどの喜びは非常に大きいですが,研究職を経て教育者になるのも良いのではと感じています。
私は現在,教育者から研究者になりましたが,今後もう一度,教育者に戻る機会があったら,学生一人ひとりに楽しく,かつ厳しく,時には優しく指導できるように,スキルアップした自分で望みたいと思います。
−最後に−
女性は結婚,出産と,男性に比べると仕事を続けていく上での岐路に立たされることが多いと思います。私事ではありますが,私もごく最近,結婚することができました。
若手研究者の結婚において大切なことは,パートナーに「研究職という職を理解してもらうこと」であると言われています。研究時間が業績に比例しがちな研究職は,家庭で2人の間に軋轢が生じやすいですが,幸いに?相手も同業であるため,仕事に対する理解は得られていると思います。現在は,二人とも任期付の教員や研究員であるため,今後の身の振り方を考えさせられる日々が続いていますが,互いに刺激を与え合い,研究の仕事を続けていくことができたらと思います。
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