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女性会員からのメッセージ No.30
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「しなやかに」
昭和電工(株)  本橋 直子

 「女性はしなやかにね」私が就職して間もない時期に仕事に少々の不満を抱き愚痴をこぼしていた頃から、そして、最近久しぶりにゆっくりお会いし現状を報告したときにも、研究室で育てていただいた先生からずっと言われ続けている言葉です。

 男女雇用機会均等法が施行されてから数年後に就職した私は、研究所で生き生きと男性と変わることなく働いている先輩女性を見て、対等に仕事をしてゆける雰囲気があると思いました。逆に、バブル期ということもあってか、大学にいたときより、企業の研究所の方が、女性の人数が多いことに驚いたりしていました。会社に入社してから受ける研修や昇格試験等においても、男女の差を感じることはありませんでした。

 こんな環境にいた私が、”女性ならでは”ということを感じたのは、結婚して、育児休職を取ってからでした。社内に育児休職を取り復帰している先輩後輩が増えてきており、何のためらいもなく取った育児休職でした。
当時、会社が総合化学から個性派化学へと、改革の真最中ということも影響したのだと思いますが、「テーマの選択と集中」プランが進行、研究テーマの見直しが進み、復帰時に休職前に行っていたテーマには戻れませんでした。
 もちろん仕事・テーマが変わるということは、性別を問わずあることです。とはいえ、育児休職を取られたことがある方は、おわかりだと思いますが、それまで、あまり時間を気にすることなく仕事をしていた環境に時間という制限が加わり、いつ保育園からの呼び出しがあるかわからない状況、慣れない育児、そして新テーマとばたばたの生活です。一年間会社を休むという重さを感じました。
 少し間をおき、2人目を出産。このときは、休職前の仕事に復帰しましたし、何事も回数を重ねると少しは慣れるもので、1人目のときよりは2人目の方が「忙しい」「時間が足りない」ということに覚悟ができている分、気持ちに余裕がありました。と感じていたのもつかの間、数ヵ月後に別のテーマに異動となりました。
 そうして2人目育休復帰時から半年、やっと新しいテーマに慣れた頃、それまで同じ千葉の研究所に勤務していた夫が、長野の事業所へ長期出張となり、それから2年後の昨年春には、そのまま長野の事業所に転勤になってしまいました。言葉で書いてしまうとほんの数行に納まってしまう出来事ですが、私にとって大問題。病時保育からファミリーサポート制度、使えるものは何でも使って、育児&仕事を乗り越えようとしているのが今の私の現状です。
 
 ここで少し私が行っている仕事に触れたいと思います。
現在、効果効能を有する機能性化粧品原料(美白剤等)の開発というテーマのもと、開発された原料の処方検討を担当しています。上市され販売されている化粧品原料であるため、お客様(化粧品メーカー)からの処方上の問い合わせに対応したり、営業と共にお客様のもとへ伺うこともあります。化粧品原料のような女性がメインのユーザーである原料はそう多くはなく、化学メーカーの中では、女性が働きやすいテーマの一つだと言えます。
 実際に自分の開発した処方を応用して製品が作られ、その製品が販売されたときには、達成感を感じとても嬉しい気持ちになります。こういった通常の業務においては、それほど大きな問題はありません。
 また、同じ職場に偶然にも共働きで子育てをしている方が多く、立場を理解してもらえること、そして、いろいろな場面で協力していただけることが本当にあり難いです。
 しかし、それでも避けられない問題がいくつかあります。宿泊を伴う出張や朝早くもしくは夜遅くなる出張には制限がかかります。また、子供の病気等により、いつドタキャンしなければならない状況が発生するか予想が付かず、重要な任務は引き受けられません。
 このようなことから、ストレスを感じることもありますが、子供の笑顔とこちらの意表をつくような発言に笑わされ癒されています。
 以前このコーナーに「母親業も自分の仕事」と書かれている方がおられましたが、本当にその通りです。

 私が今の立場になったとき、本当にいろんなことを考えました。そうした時、思い出すのは「しなやかに」という言葉でした。どんな立場になっても、答えが出ていなくても対応していかなくてはならない状況が現れます。
 その時々に、柔軟に対応していける様になりたいと。そして、どれも完璧にこなすことは不可能です。私が仕事を続けていかれるのは、周囲の協力あってこそです。今は周りで支えてくださる方の力を沢山借りて、そしていつか仕事で返していきたいと思っています。
 これから、社会に出て頑張ろうとしている方、そして今まさにキャリアアップを目指して頑張っている方々は、それぞれいろんな環境で仕事をされていくと思います。女性を取り巻く仕事環境も、少子化対策や保育制度等が充実し、年々改善されていますが、予想外の問題にぶつかることもあるでしょう。
 厳しいときもありますが、前向きにそしてしなやかに、周囲からの協力を受け入れて、頑張って下さい。トラブルに陥ったときの対応力や忍耐力は、男性より女性の方が、上回っているのではないかと思います。
 
 
本橋 直子(もとはし なおこ)氏
昭和電工(株) 研究開発センター
                                 (最終学歴:東京工業大学
           理工学研究科化学工学専攻 修士)
e−mail address:Naoko_Motohashi@sdk.co.jp
(2007.2.27 掲載)  

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