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女性会員からのメッセージ No.27
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二つの言葉
日揮(株) 永宮 祐子

 周囲の人が何気なく発した言葉が、いつのまにか自分の中に住み着いていることってないでしょうか。私にとってのそんな言葉を2つ、 紹介したいと思います。

 一つめは、「とりあえずこの先5年のことだけ考えること。その先は、5年後にまた考えればいい」
これは、結婚を目前にした頃、これから先、仕事と自分が新たにもつ家庭と両立できるのだろうか、と悩んでいた私に母が言った言葉です。
当時の私は、親元でいわゆるパラサイト生活をしながら、朝はフレックスぎりぎりに出社し、夜は終電で帰ることもしばしば、という、 ただ単に忙しいというだけではなく、好きなだけ、好きなように仕事をする毎日でした。結婚すれば相手のいる生活、 夕食も自分で作らなくちゃいけないし、掃除、洗濯、、、その頃の私にそんな"余計なこと"をする時間なんて想像もできませんでした。 しかし、実際には今、結婚してもなお、ダンナさまの理解もあって、自分のペースで仕事を続け、さらには1年間の海外単身赴任を するようになるとは思ってもいなかったでしょう。
大学で研究室に所属する前は、今、働いているエンジニアリング会社という業種、プロセスエンジニアという職種の存在すら知りませんでした。 初めて知ったのは、ベンゼン環とはやはり相性が合わないな、という単純な理由で化学工学研究室を選んだ後でした。
その5年前、高校生の頃は化学工学という分野さえ知りませんでした。化学と聞いて思い浮かべるのは白衣とビーカー、 どちらかというと興味があるのは、機械や航空工学の世界でした。結局、応用化学部に縁があったわけですが、今思うと、 対象はロケットからプラントに変わったものの、漠然といだいていた「ものづくりをしたい」という気持ちは、変わっていなかったのかもしれません。
5年もたてば、自分を取り囲む環境はまったく変わり、選択肢は大きく広がってきます。現時点で知っている、 限りあることだけでいろいろと悩んでもしょうがない、ということでしょう。状況が変わっても、自分の芯は意外とぶれないものです。 母の言葉は、そのことに気づかせてくれたのですが、まだまだ私も見えない将来を思い、深く悩むことも少なくありません。  将来、育児と仕事の両立をすることができるだろうか、、、と子供もいない時分から不安になったりするたびに、 この言葉を思い出しては前向きな気持ちになろうと自分を励ましています。

 二つめは、「人の誘いは断るな。断れば、二度と声はかからない」
これは、卒論の準備で徹夜にちかい日々が続いていた頃、マージャンに誘われた研究室の友人が、 卒論よりもマージャンを選んだときに言い残していった言葉です。いや、なんとも情けない背景ではありますが、それでもこの言葉は、 その後、私の合言葉になりました。時には、急な飲み会の誘いがあったときのダンナさまへの言い訳にも使われますが、仕事でも仕事以外でも、 誘われたこと、頼まれたことは、苦手なことでもひきうけよう、と心がけています。(もっとも、ひきうけつつ、時に嫌な顔をしてしまうのは直さなければなりませんが。) おかげで、突然、中東の現場にとばされたり、オランダで軟禁されたり、つたない英語で3時間も外国人相手に先生をやらされたりと、 とんでもないめに遭うこともありますが、終わった後は、経験という大きな財産になっています。ひょんなことから社内での知り合いが増え、 ときに仕事で助けてもらうこともあります。そういえば、この化学工学会の男女共同参画委員会も、声をかけていただいて2年間ほど参加いたしましたが、 おかげでいろいろな社外の方と知り合う機会になりました。人とのつながりも大切な財産なのだと思います。

  さて、男女共同参画ということで私の周囲の状況をみてみますと、女性エンジニアで、最近、育児休暇から復帰し、 仕事と育児を両立している方々も増えてきました。 しかし、それほど多くはなく、みな状況は異なるため、今だに自分がこの先、 どのようにエンジニアとして仕事をしていくのか想像できない、というのが現実です。しかし、ちょっと目を移してみますと、 最近は毎年のように頼もしい後輩たちが入社し、アジア、中東と世界中の現場に飛び出し活躍しています。この先5年、10年後、 彼女たちがさまざまな仕事のあり方のロールモデルとして社内に新鮮な風を吹きこんでくれると思うと、なんだか楽しみになります。 その頃には、私も誰かのロールモデルとなれるような日々を過ごしていたいものです。


オランダにて仕事中

永宮 祐子(ながみや ゆうこ)氏    
日揮(株) エンジニアリング本部
ニューエネルギープロセス部
(最終学歴:慶應義塾大学理工学研究科
       応用化学専攻修士課程修了)
e-mail address: nagamiya.yuko@jgc.co.jp
(2006.11.24 掲載)  

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