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飽きっぽい性格
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東洋エンジニアリング(株) 村上 菜穂子
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私は元来飽きっぽい性格である。一つの趣味を細く長くゆっくりと楽しむことよりも、思い立ったら即実行、それこそ一心不乱に集中した挙句、ある程度の満足感・達成感を得るとすぅっと関心が薄れていき次のターゲットに目が向いていく。定期的な引越しも好きである。がらりと変わる環境へのわくわく感が、荷物の梱包・開放といった煩わしさを吹き飛ばしてしまう。物事を深く追求することより、変化を好み目新しさに惹かれる。この性格が利点であるか、欠点であるか、それは表裏一体であろう。否定的に捉えるよりも、こんな性格でも生かしていけるように人生を選択していけば楽しく過ごしていけるはずだと開き直れるずうずうしさも最近では身についたようである。
社会人となって早くも10数年になるが、振り返ってみるといくつかの岐路における 選択権は、この「飽きっぽい性格」が持っていたのではないかと思えてくる。
まず就職活動。当時はまだまだ売り手市場であり、今から見れば相当恵まれていた反面なまぬるい学生を輩出していた時代であろう。ご多分に漏れず全く危機感も持たずにスタートした就職活動だが、超一流化学メーカーの研究部門は敷居が高い上に今後の長い時間を研究者として過ごす自分の将来像がどうしても描けず違和感を持っていた。そこにたまたまエンジニアリング会社のOBと話をして、あれもこれもといった多様なプロジェクトに関われるという点に飛びつき、「これだ!」という直感を信じて選択した。
次に担当業務。基本的に入社以来プロセス屋としての設計業務に携わっているが、扱う分野はいろいろな変遷を経て現在に落ち着いている。入社当初はエチレン、VCMといったライセンスドプロセスを担当し、大型の大量生産型化学プラント設計を通じてエンジニアリングの基本を身に付けた。この期間は、自分の好奇心で仕事を選択できる立場ではなく、とにかく日々与えられる課題、検討をこなしていくのが精一杯であり、一生懸命に知識と技術を吸収した。それから2回の育児休業をはさんでプロセスの改良・開発業務、現在のR&Dプロセス業務へと移ってきた。これは私の希望というよりも、育児との両立の上で余儀なくという面と社内のニーズという面が大きいのだろうが、今となってはやはり「落ち着くところに落ち着いた」という感覚だ。というのもR&Dプロセスチームでは、扱う商品が新規性・開発性のものであり反復率が極めて低い。毎回新しいプロセスとその特異性を把握し、固有の問題解決が要求される。これは非常にしんどい。自分がこの分野についてはある程度の知見者であるという自信が育ちにくい。しかし、都度新規のプロセスであるという点が私の好奇心をかき立ててくれる。しかも所詮は要素技術の連なりだと思えば過去の経験が役に立ってくるということも実感できるようになってきた。私は自分の性格をアピールしてきたつもりはないが、幸いにも上司はうまく察知してこの業務へ導いてくれたのだと思い、感謝している。
そして、出産。
母親になることと飽きっぽい性格とが関係あるのか?と思われるだろう。もちろん好奇心で出産したわけではない。緻密な(?)人生設計に基づき出産した。母親になったことで仕事上は様々な制約を生じることになったのだが、二つの役割があるということは私には好都合であり、だからこそ綱渡りのような両立を続けることができたのではないかと思う。一つのことへの集中が続かない私には、社会人としての時間と母親としての時間を区切り、頭を切り替えることがそれぞれのリフレッシュにつながり、会社に対しても子供に対しても集中ができるという相乗効果を生むわけである。
飽きっぽい性格なんて聞こえは良くないが、私はこの性格とうまく付き合っていくつもりだ。自分の人生の中では自分が主役である。自分が楽しく、居心地良く過ごせるような状況を整えていくことは、有意義な人生につながるはず。女性の人生は、就職後に幾度か大きな岐路を迎えるが、無理をせず自分の価値観を大切にして欲しい。周囲にあわせた 選択ではなく、自分の選択に周囲を合わせてもらう。そのための努力は惜しまずに。そして 楽しく人生を過ごしましょう!
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村上菜穂子 (むらかみ なおこ)氏
東洋エンジニアリング(株)
技術本部プロセス技術グループ
(京都大学大学院工学研究科化学工学専攻
修士課程修了)
barbara@ga.toyo-eng.co.jp
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| (2005.4.1 掲載)
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