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女性会員からのメッセージ No.4
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チャレンジする力
岩手大学地域連携推進センター 小川 薫
 
 私は、今年40何才。ただ今、論文博士の審査を受けている真最中!!
なんで今こんなことをしているのかと、ふと思うことがあります。
思い起こせば、私が筑波大学第1学群自然学類に入学したのは、今から20数年前。化学を専攻し、4年時に反応有機化学の研究室に配属になりました。その研究室にはイオウ化学の大家である大饗教授と一緒に仕事がしたいと全国の大学から集まってきていたたくさんの先輩方がいました。とにかくすごい研究室でした。何がすごいかというと、研究に関してはもちろんのこと、飲み会のすごさには驚きました。飲んで騒ぐというよりも、とにかくいっぱい、みんなでとことん、いろいろな議論をしました。また、自分の研究室だけでなく、他の研究室と常にスポーツレクや飲み会などで交流があり、研究室の枠がないくらいいろいろな先生や先輩方と知り合う機会があったのです。今私の中に財産として残っているのは、この頃のいろいろな人達との出会いです。
 修士課程を含む研究室生活3年はあっという間でしたが、今思えば学生時代が一番自由に自分で好きなように 1日のすべての時間を使えた時期だったかもしれません。実験をするにしても、人と交流するにしても、時間を気にせずやりたいだけできたわけで、家庭をもち、子供ができると、本当に自由な時間は限られてきます。だから、今、大学生の皆さん、大学生活の時間を大切に過ごしてほしいと思います。
 修士を終了して企業に就職し、2年ほどで結婚、3年半ほどで、出産退職をしました。会社では、今はやりの特許業務につき、大学での専門の研究とは違ったいろいろな研究分野のおもしろさを知り、それを権利化する実務に追われながらの忙しい日々を送りました。なぜ仕事をやめたかというと、私の中にもジレンマはありましたが、やはり自分の子は自分で育てなければと思ったからでした。しかし、実際子育てだけに奮闘していたのは2年ほどで、その後、在宅でできる化学反応のデータベースづくりの仕事を知り合いの先生からいただき、子供が寝ている間の作業という具合で仕事に復帰。また、他にもいろいろなところから在宅でできるお仕事をいただき、幼稚園や小学校のPTAや部活動に係わりながら在宅での仕事を続けていました。
 上の子供が6年生になった夏休みのある日、岩手大学の表面科学の教授から、研究室の分析の仕事を手伝ってほしいというお話をいただき、岩手大学での仕事が始まりました。表面分析の仕事といっても、専門の有機合成のNMRやIRなどの分析機器とは違い、ESCAだ、TOF-SIMSだ、AFMだ、と今まで使ったことのない新しい測定装置を使いこなすことからの始まりです。表面科学という分野も私にとっては具体的になじみのない分野でありましたが、仕事を進めていくうちに、表面・界面というものが実際の工業材料の分析においてとても重要であることがわかってきました。
 と言っているうちに、この仕事を続けて1年ほどたったころ、また他の教授の先生方から、5年間の強磁場を使った研究プロジェクトの研究員のお話をいただきました。はじめはどうしようか迷いましたが、研究員としてプロジェクトに参加することにしました。それからの生活は、また土日もない研究室時代に逆戻り。約1年半は化合物合成をしながらの有機薄膜の研究を行い、その後3年半は結晶成長の研究を行いました。ここでやっとはじめて化学工学の分野に触れることになるのです。また、一からの勉強でした。研究を進めるに当たり、有機合成では大学時代の実験技術が役に立ち、薄膜や結晶の分析を行うに当たっては、最近習得した表面分析技術がとても役に立ちました。また、プロジェクト研究成果を特許出願する際にも、昔企業で行っていた特許実務経験から、自分である程度の明細書まで作成することができました。この5年間もあっという間でしたが、新たなたくさんの経験をすることができ、また自分自身を再認識でき、充実した時間を過ごせたと思います。
 そして文頭で述べたように、この5年間の仕事を、いま、学位論文としてまとめ、審査を受けています。
 毎日遅い夕飯に文句をいいながらも本審査の日にちを気にしてくれる子供たち。主人や周りの先生方もがんばるよう応援をしてくれています。取りあえずここまで来られて、皆に感謝したいです。今私ができることは、子供たちや学生さんたちにがんばっている姿をみせること。こういうお母さんの生き方もあるということを。また、この文章を読んでくださっている女子学生の皆さんに伝えたいことは、自分の中にチャレンジする力があれば、何才になってからでも新しい道が開けると言うこと。そのための下地づくりを、学生生活の中で、また社会に出てからもずっと育んでいってほしいということです。あと、もう一つ皆さんにお伝えしたいことがあります。今、私の元気の源になっているのは音楽です。週一回、2時間、コーラスをやっているのですが、日常の中に自分を表現できる場があると、日々のストレスはたまらないものだとつくづく感じています。何か一つ、自分自身を豊かにできるものを見つけて毎日を過ごしてほしいものです。


(写真)X線光電子分光装置のところで

小川 薫(おがわ かおる)氏
岩手大学地域連携推進センター 職員
(最終学歴:筑波大学大学院理工学研究科
修士課程 修了(理工学専攻)) 
kaoru@iwate-u.ac.jp


(2004.12.24 掲載)  

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