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会長挨拶

化学工学会のさらなる発展を目指して

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 平成23年度会長 中  尾  真  一
工学院大学工学部環境エネルギー化学科 教授

 

 

  2010,2011年度の会長に就任するにあたり,学会の進むべき方向として以下の五つの課題を設定させていただきましたが,早いものでもう半分の一年が過ぎました。この一年で,これらの課題がどの程度実現できたかを振り返り,残された任期中で,これら課題の実現を目指したいと考えています。五つの課題とは,次の通りです。①化学工学者の育成,②アジアの化学工学会の力の集結,③化学工学会のパワーを結集しグローバルな問題解決策などの戦略提案,④会員交流の輪を広げ,参加して楽しい化学工学会へ,
⑤ Vision2011の実現と PostVision2011の策定。

①は,全国の大学から「化学工学」の文字が消え,伝統的な化学工学(技術)者の育成が極めて弱体化していることから,学会が化学工学者の育成に責任を持とうという提案です。これについては人材育成センターを中心とし,教育機関や産業界の協力を得て,化学工学者としての資格認定試験を 2011年度からスタートさせます。現在ある「化学工学技士」の資格認定の一部とする方向で詳細を詰めており, 9月に試験実施の予定です。試験合格者は化学工学者として広く社会から認知される資格制度となるよう,産官学の協力体制づくりを進めます。

②については,すでに中国化学工学会とは協定を結び,日中化工シンポジウムを開催してきていますが,韓国化学工学会とも協定を締結しました。昨年 4月に韓国化学工学会年会に参加し,そこで協定書にサインをしてきました。また,台湾化学工学会とも現在協定を結ぶべく調整をしています。一方で,大きな課題であるアジアの帰国留学生等の組織化,化学工学会アジア支部の設立については,残念ながらあまりはかどっていません。国際交流活動は,これまで国際交流委員会が担当してきましたが, 2011年度から組織変更をして国際交流センターとし,専任理事を置くことにしました。これにより今まで以上に強力に活動を推進できる体制とし,協定学会との実のある相互交流を推進し,アジア支部の設立を目指します。

③は国家レベルの戦略的政策を化学工学会の総力を挙げて立案し,社会に発信していこうという活動です。これについては戦略企画センターが担当しています。まずは地球温暖化問題の解決をターゲットとし,実際に戦略策定を中心的に行う会員の選出を終え,活動を開始しています。単なる技術開発ではなく,広範な技術を有機的に組み合わせた大規模な社会システムの設計,最適化を目指します。すでに産業界に対する CO2排出量の評価方法について,化学工学会ならではの評価法の提案を行っており,産官から高い評価を受けています。実際にプロジェクトとして動き出すことを期待しています。今後,多くの会員の皆さんのお知恵をお借りすると同時に,実際に戦略策定作業(これが重要で,できるかどうかが成功か失敗かの分かれ目です)の分担もお願いすることになるかと思いますが,化学工学,化学工学者,そして化学工学会の必要性を広く社会にアピールするためにも,ご支援をお願いいたします。

④については,残念ながらまだまったく手が付いていません。実現したいと考えているのは,産,学,官の会員が気軽に一堂に会し,意見交換ができ,有用な情報が簡単に得られるという サロン的な場の提供です。年会や秋季大会は大きすぎます。支部や懇話会も頑張ってくださっていますが,もっと小さな,地域的な,化学工学者が気軽に集える場の提供です。学生が気軽に産業界の化学工学者と話ができ,その話に魅かれて自分も是非化学工学者になりたいと思えるような場の提供です。まずはこのような場を全国で何ヶ所かスタートさせたいと考えています。実現には場(会場)の確保,開催のアナウンス,簡単な飲食の費用の確保,そもそも当初は一番大切な参加者の確保(軌道に乗ればこれは必要なくなり,自然に参加者が集まるようになる。それが最終目的)など,なかなか大変ですが,この一年で是非ともスタートさせたいと考えています。会員の皆様のご支援を切にお願いする次第です。

⑤の Vision2011については, 2012年 3月の 75周年記念大会で総括できるよう,すでに作業が動き出しています。何を目的に Vision2011が策定され,実現できたものは何か,できなかったものは何か,それは何故かをまとめることは,学会の活動を考える上で大切です。そして,新たに化学工学会が目指す Visionを考えることも大切で,策定委員会がスタートしています。

化学工学会くらいの大きな組織になりますと,いろいろなことがそう簡単に右から左へとは進みません。五つの課題も進んでいるもの進んでいないものといろいろですが,会員の皆様のご支援の下,全体としては頑張っていると言えるのではないでしょうか。残り期間は一年ですが,是非とも五つの課題を実現したいと考えています。それにより化学工学会が社会になくてはならない学会であると広く認知され,化学工学者の必要性がますます高まることを期待したいと思います。会員の皆さん,頑張りましょう。

 
 

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